以下の文章は、私見でありやや語彙に毒も含まれているかもしれないが、それも承知の方のみ、読んで頂きたい。

先日の戯言で私は、球団名的にはライブドアに軍配が上がると述べた。その意見とは対照的であるが、今回の楽天の勝利は公正妥当な判断だと思う。正直ライブドアに勝利させる理由が見つからない。

仙台市民及び多くのファンは、ライブドアの新規参入を望んだろう。気持ちは非常に分かる。近鉄とオリックスの合併の話が出てから、ライブドアは球界に対して猛烈にアピールし、仙台という地を本拠にすることを公式発表したのもライブドアだった。ライブドアの新規参入という積極的な行動がなければ、11球団以下での球界の縮小にも繋がりかねない状況だっただけに、ライブドアが果たした役割は大きい。仮に、一連の行動がライブドアにとっての無償での広告宣伝と考えても、それでも尚許容できるだけの役割を果たしたと言える。

逆に、楽天にマイナスのイメージが表れた最大の要因は、上記の功績のあるライブドアをあたかも排除するかのような展開で、仙台で名乗りを上げたからである。その点では私も憤りを感じたことは事実だし、前の文章で述べた『東北』というネーミングの戦略においても、楽天に対してはどうも負のイメージが感じられる。

が、いざ参入ともなれば話は全く別問題で、感情に捕らわれている場合でないことも事実だ。パリーグは1球団辺り年間40億の赤字を抱えていると言われている。それを十分に受けとめらるだけの企業体力こそが、最大の焦点である。この文章執筆現在、手許に具体的な資料を置いてないので正確には言えないが、楽天の経常利益は150億ぐらいでライブドアの3倍を誇る。更に、総資産額は1.5倍。単純に数字だけでも圧倒的にライブドアを凌駕している。業務実態としては、ライブドアが経常収益の7割を金融部門で占めているのに対し、楽天は金融部門と楽天市場の二本柱が収益のメインである。リスク分散の見地から言っても、楽天に軍配が上がるのである。

ファンの多くはライブドアを支持している。ファンの意見を無視するな、そんな意見もある。当然と言えば当然の主張ではあるが、よくよく考えてほしい。大勢のファンの意見ってそれは誰が責任を負えるのか、と。確かにファンの声は非常に重要である。それが無視されたために近鉄球団が消滅し、多くのファンが失意を感じた。が、一度でも球団が破綻すれば多くの利害関係者が窮地に立たされる。取引先・銀行・球団と言うビジネスに結び付けて新たにビジネスをする仕掛け人、他球団・球界全体までその効果は及ぶだろう。損害は図りかねない程大きい。あくまで新規参入に関しては感情的になってはならない。より長期的に球団運営ができそうな企業こそ相応しい。ファンの声とっても千差万別であり一概には言えないが、その個々を見ると無責任なものがやはり多い。ファンはエンターテイメントを支える根幹であり、それを無視した経営は戴けないが、楽天の参入を冷ややかに見る視点を緩めるのも、1つの考え方なのではないだろうか。